”痛くない注射針”を作った、町工場の社長、岡野雅行さんの本「世界一の職人が教える仕事を面白くする発想法」を読み終えた。
200ページ程の言葉の中には、いくつもの覚えておきたい言葉があるのだけど、その中から一つ。
「いつも”最高のもの””一流のもの”を見ようという姿勢を持っていると、発想のヒントが得られる。」
普段、背広を着ない岡野さんだったのだけど、ある日どうしても着なければいけない用ができた。岡野さんはデパートで、舶来のものならいいものかも、と思い、イタリアの生地で作られた背広を買うことにした。既製品でも当時の金額で38万円。着てみると具合がよく、着ているのを忘れてしまうほどだったのだそう。
ある日、別のデパートの外商の人が岡野さんの元へ、「たまにはうちで背広を作ってくださいよ」とやってきた。忙しい岡野さんは、「いま着ているこの背広を渡すから、これと同じようにつくってきてくれ」とその背広を渡した。
10日後、その外商の人は「岡野さん、申し訳ないんですが、これと同じようにはつくれません」と返しに来た。何人もの職人に当たってみたのだけど、同じようには作れないと断られたのだそうだ。
最高の背広は真似して作れない。そのことに岡野さんは感動した。岡野さんは、「いいものと悪いものの差を知っていなければいけない」という。
「最高のものを知っておけば、自分の手がける仕事の質が変わってくるんだよ。」
このエピソードを読んで、どうしてやたらとメルセデスの車が売れるのか?とか、デザイナーがよくMacを使うのか?というのがわかったような気がする。ただ高いから、ステータスとして、というだけのものではないのだ。別にお金持ちでなくても、デザイナーでなくても、SクラスやMacに近づいて見るだけで、関心するところはいくつも見つかる。MacProなんて、パソコンの内側ってそうそう開けることはないのにその内部は異常だと言いたくなるくらいに綺麗だ。そういった、眺めるだけで、何かしらいい影響を受けそうな予感をさせてくれるものに近づくというのは大切なことかもしれない。何十万円もするようなものはそうそう買うことはできないけれど、例えば一流の料理が出てくるところで一度食事してみる、とか、有名落語家の寄席に行ってみる、とかならできるかもしれない。
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